島崎がフルフルと拳を震わせる。


目には、涙が溢れて今にも零れ落ちそうだ。


何か言いたいことがあるのに、何て言っていいかわからないって感じだ。



そっと、彼女の拳に手をのせる。


ビクッと肩が跳ねて、俺をじっと見つめている。


「………どうしたの?」


「……っう、う~……」


遂にボロボロと涙を零して泣き出してしまった。

俺はベットに積んであった洗濯物から、タオルを抜き取って彼女に渡した。


それにビックリしたような顔をして、固まる島崎。


「つ、使っても、いいんですか……?」


「……?いいけど……なんで?」


「だって!潔癖症なのに……」


「いいから使えっての」


島崎のぐしゃぐしゃ顔にタオルを押し付ける。

別にまた洗えばいいし、それに……島崎だったら、大丈夫だと思うし。


キスが出来ないだけだ。

それ以外は、相手が島崎ならある程度のことは、もう大丈夫になった。


………大丈夫だ、多分。




タオルに顔を押し付けたまま動かなくなった島崎を、そっと、ゆっくり抱き寄せてみる。


「……っ!?」