「ところでさ、あゆちゃんは昼休み、その『彼氏さん』と一緒に過ごさなくていいの?」

 あらかた食べ終わった頃、有紗がそんな質問を投げてきた。

「そんな目立つことしたくないし。山田も昼休みは大体用事あるっていってたから誘われさえしなければいいんじゃない?」

 山田だって一応(と言っては失礼だけど)イケメンだ。去年も今年も違うクラスだったし、よくは知らないけれどもたぶん瀧川と人気を二分して告白されるタイプだろう。

 本人はあたしを女よけとして使う説に強い抵抗を示していたけど、実際問題としておおっぴらに知れ渡った時、何をされるか分からないのはあたしの方だ。
 
 出来るだけ波風は立たせない方がいい。

「なにその冷たさー」


 有紗はころころと笑いながら、でもあたしだってあゆちゃんとの時間が無くなるのはやだからこれでいいんだけどね、と小さく呟いた。
 はにかみながら言った有紗がかわいかった。


「なに、あたしといるのがそんなに好きか」

「好きだよ! あゆちゃんは親友だもん!」

「その堂々たる告白を瀧川にもぜひ聞かせてやりた――」

「あーーだめーーー!!!」

 大慌てで両手を顔の前でふる有紗。
 ほんともう、何この子。かわいすぎる。