「ええ――――?!?!」

「うるさい」


 ぴたっ、と有紗の口を塞ぐ。学校中にどこまでも響いていきそうな声はあたしの手によって遮断された。

 朝からチャイム顔負けの大声で叫ばれたら、流石にたまったもんじゃない。

「なんで、いつ、どこで、そういう話になったの?!」

 じたばた暴れてあたしの手を振り払った有紗は、鼻息荒く詰め寄った。

「……いいじゃんなんでも」

「良くない!」

 なんで有紗が涙目なんだ。泣きたいのはあたしの方だよ。

「だってあゆちゃん、そんな素振りまったく、これっぽっちもなかったじゃん。絶対教えてよって、こないだ言ったばっかりなのに……!」

 ああ、だから有紗に嘘つくのは嫌なんだ。
 うるうるの瞳があたしの心を抉ってくる。