いわば議事録だ。
 後で見返せる資料があるに越したことは無い。小説のバックアップと同じですよ。

「はい、あなたのお名前は」
「山田朝飛です」

 へえ。あさひって言うんだ。かっこいい名前。

「どう書くの?」

「朝に、飛ぶって書いて朝飛」

「ご両親のセンスが素敵」

「そうかな」


 そうだよ。と返して、あたしは名前を書き出した。

 「ていうか俺の名前、知らなかったんだね……」っていう軽くショックそうな声は無視した。

★山田朝飛 男子 1-B 
 

「性別とクラスいるの、それ」

「いるでしょ。部活は?」

「写真部」

 なるほど。それでカメラね。
 「1-B」の隣に「写真部」と書き込んだ。

「身長は?」

「170.4」

 おお、男子の憧れ数値は一応超えてるんだ。.4に執着を感じる。

 170を概算じゃなくて超えてるかどうかっていうのはプライド問題に関わるってこないだ読んだ小説のモブキャラが言ってた。

「体重は」

「言ってもいいけど……だんだん主題からズレてキャラシート化してない? 次黒髪とかメガネなしとか書くでしょ、吉野さん」

「なぜバレた?!」

「バレますよ」


 呆れ顔で彼がため息をついている。あたしはわざとちぇー、といいながら、それ以上のプロフィール記入を諦めた。