あたしはひとりでがっくり肩を落とした。

(なんだ……もうちょっと尻尾出してくんないと、瀧川の気持ち分かんないよ)


 ちらっと瀧川の方を盗み見れば、ほら。

 多分だけどあの視線の先は、結城有紗。

 あたしの直感がそう告げている。


 だけど、裏付けるにはまだ何か、足りない。
 パズルのピースがもう3カケラくらいあれば、繋がりそうなんだけど。

 有紗を変な意味で勇気づけたりは、したくなかった。
 だってこれは書き直しのきく物語じゃない。有紗が決めて行動して、それで砕けるならいくらでもいい。万が一砕けた時は、あたしがフォローしてあげられる。
 
 だけどもし、あたしの軽率な助言が弱気な有紗の行動を縛ってしまったとして、その結果彼女が泣くようなことがあったら。

 そしたらあたしは、どんな顔をして有紗に向き合えばいいか分からなくなってしまう。