炎天下の真夏日に

ほっとするのも束の間。
曲先輩が僕の腕を掴んだ。


「じゃ、部長!この子私が立派な記者に育てますね!!」

「余り振り回さないようにな…。
鈴木君、大変だろうと思うが頑張れよ。曲は腕は確かだからな。」

「は、はい!」


曲先輩は僕の腕を掴んだまま部室の扉に向かい、退室する寸前に三上先輩にメモ帳を下投げで渡した。


「一応目を通してて下さいよ!」

「はいはい。」


そのまま曲先輩に引き摺られ、文化部が多く在籍している棟へ連れてこられた。
今更だが会って一時間も経っていない異性からのボディータッチに羞恥が湧いてきた。空いている片手で顔を扇ぐ。
出来る事なら早く離して欲しい。恥ずかしくて仕方が無い。

そんな切実な僕の願いが届いたのか曲先輩は掴んでいた腕を離した。


「馨くん。美術部の部長の事知ってる?」

「いや…知りません。」

「やっぱ新入生は知らないか〜。
今の美術部の部長ね、絵を全く描かないらしいのよ。」

「部長なのに、ですか?」

「そう!部長なのに!!不思議だと思わない?知りたいと思わない!?」


生き生きとした瞳が僕に向けられる。
絵を描かない美術部の部長…。確かに不思議だ。どうして絵を描かないのに美術部に入っていて尚且つ部長に就いているのだろう。
考えれば考える程、知りたいと言う欲求が増してきてならない。