「相変わらず曲(わだ)はネタの仕入れが早いな。」

「ネタは新鮮さが大事ですから!」

「詳しく話を聞こう。……それと、君は新入生だろ。入部志願者かな?」


部長と呼ばれた男子生徒が僕の方へ目をやる。曲と呼ばれた彼女もそれに釣られて僕へと視線を向けた。
突如話を振られてしどろもどろになる。


「あ、はい…。に、入部したいと…思って…。」


やっとの思いで出た言葉は余りに弱々しく、今にも消えかかりそうな声だ。


「そんなに緊張しなくても良いよ。怖い先輩とか居ないからさ。
俺は部長の三上(みかみ)だ。入部歓迎するよ。」


三上先輩はそう言って笑顔で手を差し出した。
僕も漸く緊張が解け始めたが、いまだぎこちない笑顔でその手を取った。