春。
そう順風満帆な春だ。
別れの次の出会いであり、何かに取り組むといった事に関して最適な季節なのだ。
例によってこの僕もその「何か」に取り込もうと思う。
思うだけでなく脳内で議決された案を体という体外発信機能によって行動に移すのだ。

僕は物心付いた頃から文字が好きだ。絵本や小説ついには辞書まで手を付ける程に。
そのお陰か国語の点数は郡を抜けて良い。自慢と言う訳では無いが、誇れる物が少ない僕にとっては、ほんの少し周りに言いたい事なのだ。

この中高一貫の学校には高等部に新聞部と言う部活が存在する。
その名の通り月に一度のペースで校内の掲示板に広用紙にまとめた新聞を張り出すのだ。
ネタの取材から新聞のレイアウトまで全て生徒が担っているらしい。
人気もそれなりにある部活だ。

そして、僕の「何か」に取り組む事とはこの新聞部に入部し、僕だけが書ける僕だけの記事を書く事だ。
新しい自分への挑戦なのだ。