笑っている。
否。
嗤っている。
「どうして?」と背後から彼女の声が聞こえた気がした。
金縛りとはこういう事なのだろう。
動けない。
髪の一本から爪先まで何一つ。
鼓動さえも管理されている感覚。

彼女は憎んでいる。
お前のせいだ。と、指をさし目を釣り上げ眉間に深い皺を作り。
のうのうと生きてしまっている俺に対して事の全てを押し付けるが如く。
憎悪の感情を向けられている気がしてならなかった。

その後家路に着き、就寝するその時まで彼女のあの表情が頭から消える事は無かった。



否。
一年経った今でさえ俺は忘れられずにいる。