炎天下の真夏日に

「ただ何で絵を描かないのかなー…って思っただけです。」

「美術部だからって必ずしも絵を描く必要はないだろ。偏見だ。」

「高二までは描いてたじゃないですか!私知ってるんですからね!!」


若干ムキになりながら曲先輩が言う。
その言葉に哀川先輩は煙たい表情を隠す事なく露わにする。


「絵を描かなくなったからと言っても、記事にする程ではないだろ。」

「私も“ただ”描くのを止めたのならここまで追求しませんよ。」


自慢気で勝ち誇った笑みを浮かべて曲先輩は哀川先輩を見つめた。
どうやら曲先輩は哀川先輩が絵を描かなくなった原因を少し掴んでいるようだ。
哀川先輩は更に眉間の皺を深くして曲先輩の瞳を見つめ返す。


「...今すぐ出て行け。お前等に話す事は何も無い。
たかが絵を描かないだけで付き纏われるのは御免だ。」


今までとは比にならない冷たく地を這う声だ。
流石の曲先輩も口を開かなかった。
険悪な空気を残したまま僕と曲先輩は美術室を後にした。