彼が私の前にたったと思ったら突然

「あの時、お前なんか助けるんじゃなかった…。この裏切り者が。」

恋「えっ……」

「出ていけ。お前の耳障りなその声と目障りな姿二度と見たくねぇ。失せろ。」

そう言い、私を倉庫の外へ殴り飛ばした。

恋「うっ……!!」

連日続いた雨によって地面はどろどろだった。
泥たちが私の服や髪にまとわりつく。
その姿はまるで私のズタボロにされた心のようだった。

そして倉庫のシャッターがゆっくりと閉まっていく。

何で…何で私がっ…。
身体の節々が痛く顔だけを動かす。
私の目にうつったのは軽蔑の眼差しをした幹部達の顔、泣き出しそうに瞳を潤ませている下っ端たちの顔。
そして、1人手で顔を隠しながら私を見て口角をあげ笑っている姫の顔だった。