ネコという名の犬

 父親は、意味もなくその犬を撫でている。
 目を閉じて待ってみても、のぶおの声はせず‥

 「のぶ‥明日パパと犬貰ってくれる人探そう?」
 のぶおは、半べそをかいて今にも泣きそうな目をして父親の話しを聞いた。

 「のぶ?今日は一緒にいていいからパパがママに言っとくから…な」

 犬の頭をポンッと叩いて父親は部屋を出た。

 その犬はキョトンとして、のぶおを見ている。
のぶおは涙を拭いて笑い返した。


 雨の音を…聞いて
「パパーッ!!!」と父親が母親に怒られている声を聞いた。