ネコという名の犬

 のぶおの頭を撫でようとする手を舐めているのんきな顔をした犬。
 いや‥のんきな犬。

「…どうしよう‥」
外は雨、家では母親のくしゃみ…。

 「ただいまー」
父親がいつものトーンで帰って来た。

 「パパー!聞いてよー!のぶおったらねーぇ‥!!」

 …母親はのぶおが拾ってきた犬の事をカバンを取り、スーツを脱がし器用に話ししている。

 母親の大きな声の間に、小さくうなづく父親の声。
「わかった‥」と言い、
 父親はネクタイを弛め、のぶおの部屋をノックする。
 「のぶー?入るぞー」

 「………」

 ドアが開くと、キャン!と一声、鳴いた。