列はもうなくなった。


それでも、彼の姿はみつからなかった。



私は周りを必死に探す。


もしかしたら、

彼の見落としてしまったのかもしれない。



私より先に、家族に会いに行ったのかもしれない。



きっと戻っているはずだもの。


こんなはずじゃない。



私は、再会した人たちの合間を縫(ぬ)って、

ウロウロとあるく。




「お嬢さん」


1人の老人に声をかけられた。


私は振り返る。


不思議な雰囲気をまとった、おじいさんだった。



「誰を探しているんじゃ?」


「大切な人です」


声が震える。