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その日から、彼女は少しずつ自分を避けるようになった。


恐らくこれ以上、自分に情を移したくないからだろう。


日に日に痩せていき、やつれていった。


「もう、会わない方がいいでしょうか?」


彼女にそっときいた。


彼女は、ピタリと動作を止めて、クルリと振り返り、自分をみた。



本当に随分とやつれてしまった。


彼女と小川で小石投げをしたのが、もう随分と昔のことのようだ。


不器用な彼女は、一生懸命に口を開こうとしては閉じた。

自分は、ゆっくりと次の言葉をまった。


しかし、震えながら口を開けて出たのは言葉ではなく嗚咽だった。


目から、玉のように涙が零れ落ちる。


慌てて口と目元を抑える彼女を、自分はそっと抱きしめた。




これが初めての抱擁だった。