自分が仕事をしている間に、上官は何度か彼女の元に訪れていたらしく、

彼女はとても怯えていた。


「…あれが本当に君の上官なのか?」


久々に自分が訪れると、彼女の父親は不思議そうに尋ねた。

「はい…」


そうか、と父親はため息をついた。


「あんな男に娘をやるつもりはない。君でよかったよ。

しかし気をつけ給え。ああいう男はややこしいから」


「お心遣いありがとうございます。」


自分は丁寧に頭を下げた。





それでも風向きは悪くなる一方だった。


上官の追記報告が功を奏したそうで、自分の最近の成績について上層部で会議があり、

主幹が非番の間に第一駐屯地への配属が決定された。





それは、第一線への兵士として向かうことを意味していた。