自分はかがんで石ころを拾った。


何事かと不思議そうにしている彼女に、見てて、という合図を目で送り、水面に沿って投げとばす。


石が飛沫をあげながら、向こうまで跳ねていった。


驚く彼女をみて、その反応につられて自分も微笑んだ。


「石切り、と言うんです。」


もう一度、手頃な石を拾った。


「昔、友とどれだけ遠くに飛ばせるか、よく競争したものでした」


腕をしならせて投げてみた。


さっきよりも遠くに飛んだ。


三たび石をもち、彼女の手のひらにのせる。


彼女はそのまま、ぎこちない手つきで投げるが、

ドポンと川の中に沈んでしまった。



その様子もおかしかったらしく、彼女はくすくすと笑う。


自分は、持ち方と投げ方を教える。


「水と並行に投げるんです。」


手を添えながら、共に投げた。

「そうそう…あと、もう少し角度をつければ」

2人で投げた石は、2度はねた。


嬉しそうに振り返る彼女をみて、なんとも言えない、あたたかい気持ちになった。