自分は歩くのを立ち止まった。
慌てて、彼女も立ち止まった。
顔を覗き込むようにする彼女をみて、自分はいたずらっぽく笑った。
「行ってみましょう」
「え?」
「ほら、参りましょう」
「え?あ、まって…」
自分は彼女の白く柔い手を引いて、小川へズンズン向かった。
川のそばにいくと、水面(みなも)が陽の光に当たってキラキラとしているのがよくわかった。
ここまで近くで見たことがないのだろう。
彼女は目を大きく見開いて、川を見つめていた。
「きれい…」
思わず出たのであろう言葉の後に、慌てて手で口を押さえた。
目があうと、彼女は気恥ずかしそうに下を向いた。


