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家の外を出て2人で散歩する。


しっかり三歩譲って歩こうとする彼女を無理やり同じ足取りに揃えた。


とうとう観念した彼女は、僅かに引きながら静々とついてきてくれた。


特に何かを喋ることもなく、歩き続ける。



何台かの自転車や、歩行者ともすれ違った。


自分はあまり気にしないが、

彼女は無言が気まずそうだったので、周りを見ながら「あの川は泳げそうですね」と声をかけた。


「小さな殿方は、よく遊んでいます」


堅い返事だ。

今度は消えそうな声だった。


実際、向こうの小川には小さな人影が幾人かあった。


「あなたは?」

「はい?」

「あなたは遊んだことがないのですか?」


彼女は暫くポカンとしていたが、ふるふるとかぶりを横に振った。