写真の彼女。
生真面目そうで、視線の固い女の人、というのが第一印象だった。
目の前にいる彼女は、その写真と全く同じ顔をしていた。
緊張した面立ちのまま、正座で挨拶をする。
自分も、姿勢を正して挨拶をした。
暫く、見つめ合う。
居間に漂う、痛いほどの静けさは、衣摺れの音さえ許されないかのようだった。
「いやぁ、楽にしてくれたまえ」
彼女の父親はそういうと、自らも体勢を崩した。
空気が柔らかくなった。
「失礼します」
自分も僅かに脚を崩し、改めて父親と彼女をみた。
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