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彼が俺を下ろして、周りを偵察していたとき、俺の見えない場所で銃声がきこえた。


音が鳴り止み、痛くなるような緊迫のなか、彼がひょっこりと戻ってくるのをみて、

俺は冷や汗がどっと出るのと同時に、ため息をついた。


これが何度目かわからない。


その度に彼は苦笑するのだった。



また別の場所で偵察しようとして、

「見てくる」

彼がそう言った後、ざわりと胸が鳴り、嫌な予感がした。


彼の弾は、もうそろそろ切れるはずだ。


ダメだ行くな…


そう言おうとした時、敵兵の3、4人がこちらに向かってきた。


彼はとっさに銃を取り出し、撃ったが、予感通り、弾切れだった。



敵兵は、無抵抗の彼を、長剣で滅多刺しにした。

彼の身体から、血しぶきが飛び散る。

悪夢のような、光景だった。


なす術もなく、叫ぶと、敵兵は振り返った。


彼は、その一瞬の隙を見逃さなかった。

ズタズタにされた身体が倒れる前に、

全ての力を振り絞って、懐から唯一の武器である手榴弾を取り出した。


引き金を引き、彼自身の真下に投げるその直前に、

俺の方をみて口元が動いた。