私は唖然(あぜん)として、みた。
「わしもな、この世のものではない。
そもそも、生者には見えぬ」
そう言っている間にも、
私の背中も、道行く人は踏みつけるが、
その靴底は決して私にあたることがなく、身体のなかを通り抜けた。
「そんな…」
にわかには信じがたいものだった。
私の目から涙がこぼれる。
もう、死んでしまったのか。
ここまで、こんなにも頑張ったのに、
私の肉体は、ついてきてくれなかった。
身体を、戦地に置いてきてしまったのだ。
「彼は、もう、先にいっているぞよ。
お嬢さんも、さぁ、早く参ろうか」
おじいさんも、泣いていた。
私は、頷いた。
地面に沢山の涙がおちた。


