その後も作業を頑張った。


この花壇にたくさんの花を咲かせて、このホテルで結婚式を挙げるカップルにおめでとうと祝福したい。


ホテルに泊まるお客様に、お花で癒されてほしいと思う。


すっかり夕方になっていた。


早く明日にならないかな。


そんな事を又思っていると、目の前に朝陽さんの幻が見える。


やだ、私は朝陽さんを思い過ぎて、幻想が見えるようになったのかも知れない。


目を擦りると、その幻が私に近づいてきた。


「はな、ただいま。」


え、本物の朝陽さん。


帰るのは明日のはず。


「おかえりなさいは言ってくれないのかな。」


はい。


驚き過ぎて声が出ない。


「あ、あ、あのお仕事は。」


朝陽さんが直ぐ近くにいた。


「はなに早く会いたくて、仕事を早く切り上げて来た。」


そんな、私の為には早く仕事を切り上げただなんて。


「心配しなくても大丈夫。仕事はしっかりとこなしてきたし、もう一晩泊まるのを止めただけ。」


本当に。


私の為にとか思うと辛くなる。


朝陽さんが優しく抱き締めてくれた。


「はなが近くにいないと仕事にならないからね。」


そんなに甘やかさないで下さい。


ダメ子がもっとダメ子になりそう。


朝陽さんが私の手を見た。


泥だらけだなと笑いながら、その手を朝陽さんが握って歩き出す。


何処へ行くの。


中島さんに助けを求めると、笑顔で見送られた。