視察先のホテルに向かう車の中で、又社長ははなに電話をしていた。


俺のイライラはピークに達し、思わず大きな声を出してしまう。


「社長、いい加減にしてください。仕事に集中しろよ!」


社長が俺を睨んだ。


「俺はしっかりやってるつもりだけど、なんで、お前がイラついてんだ」


俺は何をしたいんだ。


朝陽が楽しそうにはなと話してることに腹を立てるだなんて、あり得ない。


自分のバカさ加減に笑える。


「すみませんでした。」


「別にいいけど。はなは俺の者だからな。」


え、なんで、どうして、俺の気持ちを知ってる。


頭の中が真っ白になった。


朝陽は俺のはなへの気持ちを知っていたのか。


嫌、待て、俺の気持ちを探ってるのかも知れない。


今は冷静でいよう。


何もなかったかのように、冷静を装った。


早く帰りたい。


社長に振り回されのは、ごめんだ。


なぜだか、はなの笑顔が浮かぶ。


俺も相当いかれてるな。