木村さんの子供が熱を出して、少し遅れると連絡が来た。


嘘だ。


どうしよう。


こうなったら、店を閉めようかな。


その時、店先に高級車が停まった。


車の中には二人いるようで、運転席から一人の男性が出てきて、花屋に入ってくる。


私の目の前に現れたその男性が私を見つめて言う。


「お墓参りに持っていくお花を適当に花束にしてくれませんか。」


綺麗な顔だなと見つめて返してしまった。


今、なんて言ったっけ。


「僕の話を聞いてましたか。」


はい、えーと、花束でしたよね。


お墓参り用の花束。


確かドケのある花は駄目だ聞いていたから、百合と何が良いのだろうか。


「誰か他にいないのですか。」


思わず頭を下げた所に、又男性が入ってきた。


ここにいる男性よりも背が高くて、眩しいくらいのイケメン。


160cmの私は背伸びをして見つめた。


「可愛いお嬢さんに見つめられるのは嬉しいけど、花束はどうなってるのかな?」


すみません。


そうでしたね。


頑張ります。


こんなイケメンに二度と逢うことはないと思うから、母に教わった事を必死に思い出して、汗をかきながら花束を作りあけだ。


その間に何故か最初のイケメンはいなくなり、後から来た長身のイケメンはずっと私を見つめたまま。


顔を上げると目が合う。


そして、極上の笑顔を私に向けた。


花束を渡そうとする私の手をにぎり締める。


え、いったい何が起きたのでしょうか。


私をもう一度見つめて。


「やっと、見つけましたよ。」


何をお見つけになったのでしょうか。


なんで、今度は花束と一緒に抱き締められてるのでしょうか。


イケメンは何をしても許される法律はありませんから。


離しなさいよ!