「ねぇ悠くん、だっこ~!」
「よっしゃ、おいで」
翔也は悠生によく懐いている。
そりゃもう実の姉である私が嫉妬するぐらい。
翔也は悠生に今日あった出来事を一から話している。
こうやって歩いてると家族みたいだな、なんて思ったり思わなかったり思ったり。
悠生は私達の家から15分ぐらい歩いた所に住んでいるから、私達の家の前で別れる。
「悠くんまた明日ね~!」
「おう、じゃあな!」
そういって悠生は翔也の頭をぽんぽんと撫でる。
翔也は嬉しそうに家の中に入っていくけど、私はそうはいかない。
だって、私だって頭ぽんぽんしてほしい…。
まぁ、絶対口には出さないけど。
内心モヤモヤしながらチラッと悠生を見るとバッチリ目が合ってしまった。
そして優しい顔で私の頭を撫でてくれる。
「瑠香も、また明日ね?」
「頭撫でてほしいなんて言ってないのに…」
素直じゃない私はついそんなことを言ってしまう。
それでも悠生は
「でも、してほしかったんでしょ?」
私の考えてることなんてお見通しで。
「……バカ」
「ふふ、ほんと素直じゃないんだから」
「悪かったですね、素直じゃなくて」
「まぁ、そんな瑠香も好きだけどね」
そういって額に触れるだけのキスをされる。