何もおかしな事はない。人と人との出会いにいちいち理由など求めまい。どこで会おうがどんな理由があろうが、交差するかどうかを決めるのはいつも当人の選択次第だからだ。
見送る数は逃した数と同意である。怒涛のように流れくる運命の波濤は、そうと気づかぬ内に人の一生を型どっていくものだ。気づくか気づかないかの違いではない。受け入れるか撥ね付けるかの選択にしかなりえないのである。
是とするも否とするも、それは閉じた運命の中にありながら決まりきった意思に非ず。要は、選ぶ側の問題なのだ。
人と人が物語を紡ぐようにお前は「剣」と向き合わねばならない。残念だがお前に選択の余地は無く、分岐路も設けられていない。お前はそう在るような生き方しかできないのだ。余分なものは無く、お前はただそれのみに特化している。

耳を傾けよ。
歴史を聞け。
そして在りたい姿を問いかけるのだ。
誤るなかれ。
お前は「剣」の声を伝うもの。
必要とあらば「剣」をとれ。そして意のままに準じよ。
お前が「剣」の理解を得たならば、「剣」もまたお前を理解しよう。





ガシャン、と音がした。
それは男の限界を示す音であり、自らの敗北を認める音だった。
ただ血は流れるままに。流しすが