偶然?あ、でも今日ふたりで出かけるって言ってたんだっけ。カナちゃんのことだから気になって気になってメールを送ってしまったのかもしれない。うん、きっとそうだ。


放置していてもしょうがないから、恐る恐るメールを開く。

さすがに振られたばかりの相手からのメールってこわすぎるから、カナちゃんのを先に読もうと思ったのに間違えてコウキくんのを開けてしまった。


うわ、最悪だ。と目を背けそうになったけれど、飛び込んできたその文字に私は釘付けになる。そして、噛みしめるように何度も何度も読み返した。



『大事なこと言い忘れてた。
好きになってくれて、ありがとう。』



ぽろりと一粒、涙がこぼれ落ちる。

なんだそれ、ずるいよ……ずっと私に片思いさせておくつもり?こんなの嬉しいに決まってる。


ねえコウキくん、私こそ感謝の気持ちでいっぱいなんだよ。幾度も自己嫌悪に陥ってしまったほど重たくてうざったかった私の思いを大切にしてくれてありがとう。ありがとうって言ってくれて、ありがとう。


また目醒めてしまいそうな恋心をなんとか落ち着けて、次にカナちゃんのメールを開く。そうしたら思った通りで笑ってしまった。


『明日提出の課題って世界史Bだけだっけ?

そういえば今日コウキと一緒に遊んでるんだよね?どう、楽しんでる?』