「民間人に紛れ込む……」

「そうだ。今回はそれを試す」

隊長は机にひじをつきながら言った。

班長は、隊長になった。
最強とよばれた隊長の次だからプレッシャーもあったはずだ。しかし隊長は今まで生きのこり、数々の作戦を成功させた。

「なぜ私が……」

最低限の武装で、襲われないかぎりは攻撃してはいけない。
こんなのは新兵にでも任せればいい。今の私は、弱くない。これでも歴戦の兵士だ。

「まず二枚目を見ろ」

二枚目……?一枚しかないはず……。
そう思って裏を見ると、もう一枚引っ付いていた。

調子にのり過ぎてしまったかもしれない。私もまだまだだ。

恥ずかしくなって素早く紙を裏返す。

元貴族は何かの印をつけられる可能性がある。

「占領後、子供たちを洗脳し自国の兵士にしたいらしい。まあ、このことが広まったら批判されるな。だが、占領した国の教師もいて、母国語を教えていると言ったら……」

他国の批判を免れる。誰も、洗脳され、兵士にされるなんて考えないだろう。
新聞で写真つきで報道されるだろう。しかし、兵士になる頃には六歳の子供も十六才だ。
戦場で会っても、昔見た異国の子供達の顔など覚えていないだろう。

「向こうのお偉いさんが酔って喋った情報だからいまいち信憑性に欠ける。だから、確認したいんだ」

最近、ちょっと後をつけるだけでこんな情報が手に入ったりする。いつか嘘の情報を流そうとしているのではないかと思ったが、ただ慢心しているだけらしい。