そして、この日が来た。
わざと貴族の紋章のロゼットを見えるようにつけた。
叫んで、逃げ遅れたふりもして捕まったのに、ジロジロと見て、ロゼットを確認すれば解放した。解放するときは白い腕章をつけられ、絶対に外すなと言われた。

子どもは捕まえてトラックに乗せる。大人を見つけると、学校に通っていないと読めない字が書かれた紙を見せ、読めと命令する。読めれば私と同じように解放する。

これで確認は終了。あとは生きて帰り、この情報を届けるだけだ。

流れ弾をくらわないよう物影に隠れ、終わるのを待つだけだ。

銃声が近づいてきた。この音は……こっちが劣勢だ。
顔を出して見ると、隊長一人が四人の兵士に一斉に撃たれていた。ボロボロになって、身を守る盾も打ち返す余裕も無くしていた。

少しして、三人が急に抜けた。一人になったから巻き返せるかもしれないと少し期待したが、隊長は銃を撃てる腕を持っていなかった。

隊長は蹴られたが抵抗出来ない。

飽きたのか、兵士は去って行った。

しばらくして、隊長が任務失敗の合図を出す。この地域に派遣された部隊を壊滅させるという任務は失敗に終わった。

あんな腕じゃ命は助かったって何も出来ない。
私は隊長に駆け寄り、ある判決を下す。


「隊長、隊のために死んで下さい」

助けてもらえるとで思っていたのだろうか。目を見開いて、絶望していた。

「嘘だろ……!?」

「もう何も出来ないでしょう。そんな人を置いておく余裕なんてないんです。介錯は私がします」

「まだ戦える!この国のために……隊長のために……」

ここまできてまだ生き残ろうとする隊長に腹が立った。

「いい加減にしてください!動かすことができない腕なんて残していたって意味がないでしょう!」

少し言い過ぎたかもしれない。
隊長は諦め、もういいよと言った。