「もう〜。髪ぐしゃぐしゃになっちゃったじゃん」
やっと顔を上げると、やっぱりそこには声の通りに楽しそうに笑う真田くんがいた。
「ごめんごめん」なんて言いながら。
真田くんは優しい。
よく笑って、ふざけてることだって少なくはないけど、いつも助けてくれる。
…もし、本当にもしもだけど。
仮に私が彼を好きになったとして、もし付き合うことになったら。
私は、幸せになれるのかな。
「 (……って) 」
何考えてるんだ、私…。
ふとそんなことを思った自分にハッとして、慌てて首を振った。
「よ、よしっ、やろう…!さっさと終わらせよ!?」
「え?お、おうっ!」
今の想像を忘れるかのように慌てて急なやる気を見せた私に、真田くんは驚いていた様子だったけど。
それでも、私は気にせず作業を再開させた。



