あの数日前のチカちゃんの部屋での出来事のように、私とチカちゃんとの距離は異常なほどまでに近かった。
「あんなに顔赤くして動揺して戻って来て…。アイツにOKの返事でもした?」
いつもより冷たい、けど絞り出すように苦しげな声でチカちゃんは尋ねてくる。
「ま、まだしてない…っ。返事はまだいいって…、これから俺の事考えてくれって…、そう言われた」
「ふーん…」
加えて不機嫌さまで伝わってくる。
この距離から逃げようにも、全く動ける体勢じゃなかった。
「そ、それよりチカちゃん…。近い…っ!」
必死に訴えても、離してくれる気配はない。
「チカ…!」
「…っ、またそうやって…。でも悪いけど、こればっかりは可奈の言うこと聞けない」
今までこんなことなかったのに。
私が "チカ" と呼んでも、チカちゃんは言う事を聞かなかった。