「え、あー…ちょっとね。友達とお喋りしに…?」


もう自分でも不自然だって分かるくらいの回答。




それは当然チカちゃんにも伝わっていて、どんどん顔を歪めていくのが分かった。




「…さっき、ここ来た時に可奈のクラスの人達がやけに騒いでた。『可奈子ちゃんが男に呼び出された』って」

「っ……!」

「それ、マジなの?」



未だに私の腕を掴んでるチカちゃんの手が、力を込める。



クラス内でそんなことになってたんだと知りながら、私はもうチカちゃんに誤魔化すのは無理だと観念した。





「…うん、本当だよ」

「ッ、」

「昨日会ったでしょ?サッカー部の真田くん。急に呼ばれて…、こ、告白…された」



素直にそう告げれば、益々チカちゃんの表情が苦しそうに歪む。




────グイッ

「わっ…!」



そして、不意に掴まれていた腕を引かれ、教室の中に引き込まれた。




「で?」


壁に追いやられ、掴まれた腕ごと壁に抑えつけられる。