「…可奈」

「え…あ、チカちゃん」



教室の前まで来ると、教室前の廊下で壁にもたれて立っているチカちゃんがいた。




…そうだ。

チカちゃんが来る前に真田くんに呼ばれたから、チカちゃんに何も言わないで教室から抜けちゃったんだっけ。



おかげでうちの教室には私の鞄があるだけで、他に誰も残っていない。






「ご、ごめんねチカちゃん。待たせちゃったね!今帰る準備するから!」



慌ててチカちゃんの前を通って教室の中に入ろうとする。





けど、その前に。




────パシッ


「待って」




チカちゃんに腕を掴まれ、教室に入る前に足が止まってしまった。





「な、何…?どうしたの、チカちゃん」


あくまでも平静を装って話しているけど、明らかに動揺してしまっているだろう私の反応。





「可奈、今までどこ行ってた?何してたわけ?」



案の定というか、それを怪しんだ様子のチカちゃんは私にそう聞いて来た。