「宮野はもう帰るの?」


そう言う真田くんの目線が、一瞬チラッと隣のチカちゃんに移される。




「うん、帰宅部だからね」


ヘラっと笑って答えながらも、何となく隣のチカちゃんの機嫌が悪くなってるのを感じ取って内心少し焦っている私。




「帰宅部万歳だな。…で、さっきから俺を睨んでくるその1年クンは宮野の何?」

「えっ?」


突然話を変えだした真田くんは、今度は完全にチカちゃんへ目を向けた。




1〜3年生は靴のラインの色が違う。


真田くんがチカちゃんを1年と見抜いたのは多分そのせいだろう。




「あーっと、私の幼馴染!家が隣でね、姉弟同然で仲良しなの!」





何故私はこうも早口になって必死で答えているのか。



その答えはきっと、不機嫌マックスのチカちゃんと、笑いながらも目が笑ってない真田くんとの間に見えない火花が散ったのが見えた気がしたから。