「………」
「………」
その日の帰りも、私の少し前には無口なチカが歩いている。
帰る直前まで普通に金城さんと話をしていたくせに、私といるとやっぱり不機嫌になるんだ。
「…ねぇ、」
「………」
久々に、声をかけてみた。
チカは相変わらずの無言。
「私、明日真田くんに告白の返事してくるよ」
「………」
そう言うと、心なしかチカの肩が動いた気がした。
「これでいいんでしょ?チカ、ずっと言ってたもんね。"返事しないくせ" にって」
「これで満足?」なんて、挑発的に言ってしまうのは、心の何処かでチカが気にしてくれるんじゃないかと期待したから。
けど。
「…あっそ」
どうやら、その期待も無意味だったようだ。
チカは関心なくそう返事をして、スタスタと歩くスピードを上げて行ってしまう。
逆に私はスピードを落として、どんどんその距離は離れて行った。



