「うん、違うよ」




あくまでも、冷静に。



ここに来て、後輩に弱みを見せたくないというよく分からないプライドが働いてしまう。





私がそう言えば、彼女は明らかに安堵の表情を見せた。





「ですよね。先輩と奥原くん、2つも歳違いますし」

「…っ」

「幼馴染で恋愛なんてあり得ませんよね」




少しトゲのある言葉に聞こえるのは気のせいだろうか。




チカが好きであれば、近い存在である私に警戒心を持つのは当然のことなのかもしれない。






「金城さんは、チカのこと好きなの?」

「はい、好きですよ」



真っ直ぐに、彼女は即答する。




その真っ直ぐさが羨ましいと思った。





私はそんなに真っ直ぐにチカに好きと伝えられない。



2つも離れた、実の姉弟のように育って来た相手だから。





…そんなのは言い訳で。