「可奈、こっち向いて」

「なんで…っ」

「顔見たいから」



最後に手の甲にキスを落とせば、チカは私に視線を向ける。





ず、ずるい…!



こんな事されて、赤くなってないわけないのに。





「かーな」


優しく呼ばれて、振り向かずにはいられなかった。







───ヒュルルル…


──────パーンッ!




そのタイミングで、夜空には1発目の花火が打ち上がる。






「ドキドキしてもらえた?」



チカは、意地悪にそう笑った。







─────あぁ、もうダメだ。



その顔を見て、自覚せざるを得なくなる。