バッと掴まれてた手首を離され、その人は走って去って行く。





「おじさん、りんご飴1つ」

「あいよ」



放心状態の私を放ってチカはりんご飴をひとつ買うと、そのまま私の手を握って歩きだした。






「ん」

「あ、りがと…」



りんご飴を渡されたのは、そのチカの足が止まった頃。


着いたのは、毎年来ている花火絶景スポットだった。




人が滅多にいないここは、小さい頃に2人で探検してたまたま見つけた場所。







「…で?バカなの?可奈は。それともアホ?」

「………」



さっきの出来事をスルーされるわけもなく、私の手を離すなりチカは容赦なく暴言を吐いてきた。





「俺言ったよね?今日の可奈すげー綺麗だって。少しは自覚しろよ」

「…っ」



怒られてるはずなのにどこかドキッとしてしまう私はもう本当におかしいと思う。