「クスッ」
今思えば、あれはあれで可愛かったなー。
お母さんもチカママも「行くのやめる?」って聞くほど怖かったくせに、私と手繋いだら「頑張る」だもん。
「何笑ってんだよ」
「…ふふっ、ちょっとね」
それが今となっては、私の歩幅に合わせて歩くようになっちゃって。
「大きくなったね、チカ」
「何母親みたいなこと言ってんの」
「あははっ」
気付けば、さっきまでの緊張が嘘のようになくなっていた。
「あっ、りんご飴!」
会場に着いたのはそんな頃で。
屋台も並んでいるその中から目的の出店を見つけた私は、思わずチカの服の裾を引っ張った。



