俺の部屋のドア前に立っている可奈。
朝以外で可奈とこうして会うなんて随分と久しぶりのように感じる。
「…何」
会えて、嬉しいはずなのに。
また俺は、君に冷たくしてしまう。
「夏野菜、またお婆ちゃんから届いたからお裾分けに来たの。おばさんに渡したからチカも食べてねっ?」
下手な作り笑いで笑いかけてくる可奈。
…バレバレなんだよ、無理してるって。
無理させてる俺が言えたことじゃないけど。
「あー…、と」
「まだ何かあるわけ?」
まだ他に何か言いたげな可奈。
そんな彼女に使う言葉は自分でも呆れてくる。



