「なよ子さん。一つだけ言い忘れていたわ」


員子はなよ子を見据えてこう言った。


員子からさっきまでの
営業スマイルはもう消えている。



「あなたがつけた黒い首輪には
一つだけ機能があるの。


あ、その前に質問。
頸動脈って知ってる?」


もちろんそんな言葉は知らない
なよ子は首を振る。


「頸動脈は首筋を通る
大事な血管の名前。


頸動脈が切れてしまえば
人間はすぐ死んでしまうぐらいの


大事な血管なのよ」


員子は
なよ子の首筋を指さした。


「その黒い首輪のすぐ下を
通っている」