員子の言葉を聞いて
にっこり笑うなよ子。


「私の大好きな人たちも
こんなに悪い私を許してくれた。


だから員子さんも
ごめんなさいしてくれたから


許しちゃう」


なよ子の言葉を聞いて下を向く員子。


「あとさ、もう一つ
言いたいことがあるんだけど」


なよ子の言葉を聞いた員子は
無言で自分の財布を取り出した。


「お金のこともあるんだけど
もっと大切なこと」


なよ子はそう言うと
員子の手をぎゅっと握った。


なよ子の体温を感じて
優しい顔になる員子。


「お願い。お母さんと
仲直りして」


その言葉を聞いてため息をついた員子。


「あなたは優しすぎる」


ぽつりとそう言って立ち上がった員子は
なよ子を振り返りもせず


すたすたと歩いていった。


なよ子はベンチに置かれた
2万円をちらりと見た後


員子の去っていく後姿を
いつまでも見つめていた。