なよ子は苦しそうな員子を抱きかかえ
近くのベンチに座らせた。


持っていたハンカチで員子の汗を拭き
背中をさすってやるなよ子。


近くの自動販売機で水を買ってきたなよ子は
員子に飲ませる。


水を飲むとようやく落ち着いた員子は
乱れた髪のままなよ子にこう言った。


「私が憎くないの?」


少し驚いたような顔で
なよ子を見つめる員子。


そう聞かれたなよ子は
笑顔でうなずいた。


「憎くないよ。だって
大好きなお母さんの友達だもん」


そしていたずらっぽく笑った
なよ子はこう付け加えた。


「でも好きになるのは無理かも」


笑顔のなよ子につられて
少しだけ笑った員子は


なよ子の目を見つめてこう言った。


「なよ子さん……ごめんね」