なよ子はあたりをキョロキョロするが
員子の姿が見えない。


するとチョチョシビリが
バツが悪そうに空きっぱなしの出口を


指さしてこう言った。


「なよ子さんが倒れている間に……
逃げちゃったみたい」



なよ子は勢いよく立ち上がった。


「員子を追う！」


なよ子が走りだそうとする後ろ姿に
チョチョシビリが声をかける。


「ごめんなさいしてもらって
給料も取り返さなきゃね」



するとなよ子は立ち止まり
チョチョシビリの方に振り返った。


笑顔のなよ子。


「それもだけど
員子にどうしても言いたいことがあるから。


じゃあねチョチョシビリさん。
ありがとう！」


走り去るなよ子。

チョチョシビリは笑顔で
なよ子を見送っていた。