「ののか……」

舞台に上がってきたのは
ののかだった。


一郎は必死でケンカを止めようとする
ののかをじっと見た。


ののかも潤んだ目で
じっと一郎を見つめている。


「ん?ののかじゃんか?


またこの前みたいに
やられたいのか?」


そう言って悪い男の子が
ののかの腕をつかもうとした時


鬼のような顔をした一郎が
男の子の腕を先につかんだ。


そのまま腕をねじ上げる一郎。
悲鳴を上げる男の子。


「俺の彼女に触るんじゃねぇ」


静かな声で一郎はそう言った。


彼女という言葉を聞いて
少し赤くなるののか。


そしてこの舞台の上の一郎とののかの状況を見て
ノックアウトを食らったボクサーのように


崩れ去った人物がいる。


いったい誰だろう?


当然その人は悪の中心人物。


「ののかが彼女ぉぉぉぉぉぉ!!
ぎゅえぴぐぎゃ!」


訳の分からない叫び声をあげて
なよ子は床に崩れ落ちてしまった。