員子はなよ子の耳元で
ささやく。


「ここから出なさい。
そしてあなたは気が付くでしょう」


なよ子の耳元に
息を吹きかける員子。


「世界が変わっていることに」



員子はなよ子が監禁されていた部屋の
ドアをガチャリと開けた。


太陽のまぶしい光が
なよ子の目に飛び込んでくる。


なよ子はゆっくりと
ドアから外に出る。


そこには
喧噪と現実が


交差する世界が
広がっていた。


なよ子は思う。


何も変わっていない。


いつもの街並み
いつもの人々。


外に出て
街を歩きだしたなよ子は


何にも変わっていない世界に
ため息を漏らした。


「平凡で何の変りもない世界」


ポツリと独り言。