この日を待っていました!とか、待ちくたびれていたの!とか全く思わない私は悪くないと思います。現に菊池先輩や鈴木さんも居酒屋へ行く当日やその前日にも仰っていたので。
え?何と仰っていたのかと?

「は?飲み会?冥界への入口だろ、鬼畜ぅ!つか嫌がらせなの?何なの?」と菊池先輩は仰っておりました。と言うか、冥界とは地獄の様なイメージしかありませんか?
そして、鈴木さんはこう言っておられました。
「ハッ、飲み会なんざ無くしてしまえば良いさ。その言葉と共に冥界へお土産として投げ捨ててしまえば良いんだよ」と仰っておりました。ハハンッ!……失礼、私情を挟んでしまいました。兎にも角にも、一部の人間は「やったぜ!飲み会だぜ!皆の者よ、存分に酔ってしまえ!」「そして吐いて、又飲み干せ!」等と言っている輩ですが、その大部分を占めているのは帰りたい方達でしょう。
「飲み会?地獄だ地獄、はははは」等「あー帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい」等と最早呪文…いえ、呪詛を唱えている方が多いです。
私?私もさっさと帰って布団に潜り込んでぬくぬくしたいのです。等と思っていた内に、着いてしまいました。ふざけたネーミングのまーるかいてちょん。と言う居酒屋に…。
「着いたな」
「…着いてしまいましたね…」
「…竹中、眼が死んでいる様に見えるが…」
「気のせいでしょうね、それは…」

ふと肩に温もりを感じて、横を見ると荒沢さんがおられました。一瞬意識が飛びそうになりました、まさか荒沢さんだとは思いもしませんでしたので…。
「…大丈夫か、竹中?心なしか顔色が良くは無さそうだが…? 」
「荒沢さん…すみません、大丈夫です私は。ご心配してくださり、有難う御座います」
荒沢さんはいや、礼には及ばんよ。と言っておられましたが、不意に独り言めいた呟きが聞こえたのは気のせいでしょうか?
私には聞こえなかったので聞き直すと気のせいだと言ってそのお話は終わってしまいました。
「…意地っ張りとか頼らなさ過ぎるとは、こういう事を言うのか…」と呟いたのを、私は知らない。