そのため、中の赤が少し透けて、白にも薄ピンクにも見えるようなキャンディーだったはず。
今、目の前には生成り色のかたまり。
ピンクのかけらもなければ、なんだか質感もキャンディーとは違う気がする。
そう、これはまるで――。
俺はそれをつまみ上げた。
手の熱で、わずかだけどじんわりととける。
それが何なのか確信した俺は頬を緩めながら、口に入れた。
指先に残った白も丁寧に舐める。
口内には、熱で表面がとけたそれによって甘い味が広がっていた。
歯を下ろすと、あっさりと上下が噛み合わさる。
勿体ないくらいあっという間に胃へと消えていった。
これはどういう意味だったんだろう。
義理?
こんな小さな一粒だから、やっぱり義理かな。
でも、どちらでもいい。
本命と勘違いしたふりでもなんでもして、彼女を手にいれてみせる。
俺はにんまりと笑った。



