「マジで焦った……」


「え?」


「実は俺、お前が最近危険かもしれねぇって聞いてて。えぇと、髪が長くて……」


「亜希? ちっちゃい子でしょ」


「あぁそうそうその子」


亜希は私のクラスメイトで友達だ。


亜希と私はとても仲良しだ。


恋バナをしたときに涼ちゃんのことは話したけど、会ったことはないはずなのに。


「お前の家の前でウロウロしてたから声かけたんだよ。そしたら『あなたが涼さんですか?』って」


涼ちゃんがブランコを降りて私の前に立った。



「本当は、お前が頼ってくるのを待ってた」


その顔は苦しそうで悲しそうで、それからちょっぴり悔しそうでもあって。


だから私は何も言えなくなる。


「……菜緒」
涼ちゃんが私の名前を呼ぶのと同時に、ふわりと抱きしめてくる。